4-3.下地の補修

足場が完成したら、まずは躯体下地の調査及び補修工事を行います。

私のマンションは外壁はほとんどタイルですが、ベランダや開放廊下の天井、手摺壁などは、吹付けの塗装材です。

下地補修の一番の目的は、ひび割れや爆裂、モルタル下地の浮き等をきちんと修理してから塗装工事を行わないと、せっかくきれいに塗装しても、すぐにまた、ひび割れや塗膜の剥離が発生してしまうからです。
ですから、地味な作業ですが最も重要な作業となります。この工事の出来次第で修繕工事が大きく左右されるといっても過言ではありません。

専門の職人さんが目視とパルハンマー(打検棒)による調査を行い、下地の不具合の状況に応じ、それぞれに必要な補修を実施します。

塗装面下地面の主な補修方法は以下のとおりです。
0.3㎜未満のひび割れは、セメントフィラー(目地埋め材)をすり込んで補修
0.3㎜以上のひび割れは、シール材を注入(Uカット後にシール材を充填する工法もあります。)
爆裂は、露出した鉄筋にさび止め処理を施し、エポキシ樹脂入りモルタルで平滑になるまで補修
モルタル下地の浮きは、孔を開けエポキシ樹脂を充填して剥離防止を施します。

また、下地の補修はこうして足場が完成した後に、調査しないと正確な数字が把握できません。
設計(見積り)段階では、データーや経験による概算数量に基づき契約し、実際の数量が確定した時点で「下地調査表」をもとに増減精算をすることになります。

契約時はある程度安全を見て数量を設定しますので、精算作業で大きく予算を上回ることはあまりありませんが、下地の傷みが大きい場合などは、設計数量をオーバーすることもあります。
そのようなときのために、工事予算の5%程度を予備費として計上していますが、今回の工事では設計予算以下で下地補修が完了しそうです。

工事の様子

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▲クラックスケールを用いて、ひび割れの幅を測定しています。
0.3㎜未満と、以上を区別してマークします。

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▲この現場では、黄色いスプレーは0.3㎜未満
下に書いてある数字はメートル表示のひび割れの長さです。

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▲赤く囲んでいる箇所が爆裂です。
鉄筋が露出しているのが分かります。

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▲0.3㎜未満のひび割れは、セメントフィラーのすり込みで補修します。

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▲0.3㎜以上のひび割れはシールを直接注入します。
ダイレクトシール工法といいます。

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▲手摺壁の天端のモルタルが剥離して浮いている箇所は、エポキシ樹脂を注入します。
≒250㎜ピッチで注入用の孔を開けて・・・

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▲注入用の器具を使って充填しています。
1つの孔から充填する料は≒30g

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▲注入が完了した後は、ピンを打ち込んで固定します。

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▲端の浮いている箇所から樹脂があふれていることを確認し、十分に充填されているのが分かります。