3-1.見積の取得・比較・選定作業

実施仕様と予算が決定し、総会の承認も得られたので今後は大規模修繕工事を施工してくれる工事会社の選定に入ります。

委員会で話し合った結果、設計事務所を選定したときと同様に新聞で公募することにしました。

使用した新聞は「マンション管理新聞」と「建通新聞」です。

私のマンションは35戸と規模が小さいので、必ずしも規模が大きな工事会社でなくても良いという判断で、募集要件のハードルを低くしました。
具体的には、実績面について「過去3年間、関東エリアで工事金額5千万円以上の元請施工実績が6件以上あること」としました。
そうしたら、応募してきた会社はなんと18社(ゼネコン系1社、管理会社系2社、専業者系15社)でした。

設計事務所が応募業者の一覧表を作成し、それを見ながらどの業者に見積依頼をするかを決定します。
応募全社に依頼してみようという意見もありましたが、業者も見積費用を負担することは承知の上とはいえ、その費用は20万円前後かかります。
また、設計事務所が見積もり比較一覧表を作成するにも手間がかかるので、見積書の数さえ多ければよいという考えはあまり合理的とはいえません。

ですから、内容等を判断して発注の見込みがない会社にはご遠慮していただくこととし、今回は実績の多さ、会社経営の内容が比較的しっかりしていそうなところ9社を選定して見積依頼をすることにしました。
もちろん全て私のマンション管理士事務所が把握している会社でした。

見積の依頼に際しては、「見積要項書」、「仕様書」、「金ヌキ明細書」、「図面」などをCDに保存して、設計事務所から各業者に郵送しました。
昔は、現場説明会といって、業者を現場に集めて管理組合と設計事務所から工事内容等を説明することが多かったのですが、応募した会社同士が顔を合わせるので談合になりやすいという批判がありました。
最近は、現場説明会をやめて郵送による見積依頼が主流となっているようです。

一定の見積依頼期間に、「現場下見」と「質疑応答」を行い、見積書を提出してもらいます。

施工会社(工事会社)の公募

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▲マンション管理新聞に依頼して確保したフリースペース(無料告知欄)です。
管理組合が無料で利用できることで評判が高いのですが、掲載申し込みが多いので早めに申し込んでおかないと希望の期間に掲載してもらうことが難しくなります。
担当者と打合せ、原稿の内容を確認しながら掲載してもらいます。
マンションの大規模修繕工事に関する業者はこの新聞を必ず見ているので、自社の希望や状況を判断して応募してくることになります。
そのほかに建通新聞(日刊)の首都圏版と千葉版にも掲載を依頼しました。

応募業者の比較一覧表

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▲なんと応募は18社です。
私のマンションのような小規模マンションに、こんなに多くの会社が応募してくるとは思いませんでした。
それでも、管理組合としてはうれしい結果です。
設計事務所が応募業者の比較一覧表を作成して管理組合に説明してくれました。
一覧表の内容は、会社の概要が主体となりますが、会社の規模や売り上げランキングをはじめ、信用調査結果(評点)なども調査してあります。
委員の方には、全社に見積を依頼してみようと考えている方もいらっしゃいました。

見積要項書と工事仕様書

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▲今回の見積依頼に際して設計事務所が作成した「見積要項書」と「工事仕様書」です。
見積要項書には、今回の工事の概要、現場下見や質疑回答の要領、見積書の提出方法などが細かく指示してあります。
また、工事仕様書は今回の見積対象となっている工事に関して、仕様、工法、材料などについて細かく規定してあります。
この分野は私も比較的詳しいので、内容をチェックして設計事務所に指示しました。
付箋のはってあるページは私の指示が入っている箇所です。

見積もり依頼〜提出

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▲この写真は、質疑及び回答書の一覧表です。
工事業者は、見積関連書類を見て、その後現場下見を実施した後に見積作業に入るのですが、見積もりに際して業者からの疑問点などの質問が出ます。
また、設計事務所の仕様書と現場の状況に違いがある場合なども時々あるのでそれらの確認等の目的の質問もあります。
質問は、各社から寄せられますが、全てに回答し、一覧表にしたものを全社に配布します。
つまり、自社が質問していない項目についても、質問内容とその回答が分かりますのでより精度の高い見積ができることになります。

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▲見積提出期限にあわせて全社から見積書の提出がありました。
開封に関しては、透明性を担保するため複数の委員が立ち会って一斉に開封しました。
提出部数は2部で、1部を設計事務所に渡し、1部は管理組合で保管します。

比較検討〜選定作業

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▲設計事務所が作成した一覧表に基づき検討しています。
今回は、9社の中から更に詳しい話を聞いてみたい業者を3社選定して、「プレゼンテーション」を受けることにしました。
当然、発注の可能性がある会社が対象となるので、委員会で検討した結果、提出された見積価格の安い方から3社を選ぶことにしました。
残りの6社にはお断り状(ご挨拶状)を理事長名で郵送します。
ただし、価格だけで選定するのではなく会社の信用度も併せて検討しましたが、評価点は3社とも60点以上でした。
私がサラリーマン時代に上司から言われていたことは、信用度の目安は「55点以上」と教わっていたので、60点以上ならOKだと判断しました。

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▲設計事務所が作成した見積提出額比較一覧表
提出価格の安い順に並べてあります。
また、主要項目に関しては、廉価順位や設計価格との乖離などが色分けして記載されており、とても見やすくて判断材料としてはGoodです!