2-1.設計事務所の募集・見積依頼・取得・比較作業

今回の大規模修繕工事は、「設計監理方式」で進めることを決めたので、まずは設計事務所の選定から始めることになります。

設計事務所(いわゆるコンサルタント)の募集方法については、公募、居住者の推薦等さまざまな方法がありますが、修繕委員会で検討した結果、公募形式で実施することにしました。

最初は「重松マンション管理士事務所に紹介してもらったら良いのではないか。」とか、「マンション内の住人の知り合い等に設計事務所はいないか?」等の意見があったのですが、なるべく公平性を担保する意味でも業界紙を活用して募集することを理事会に提案したら、理事会もこの意見に同意しました。

なお、設計コンサルタントの選定については、個人ブログで記事を書いていますので、合わせてそちらもご覧ください。

大規模修繕工事等の設計コンサルタントの選定について
大規模修繕工事の不適切コンサルタントについて(国土交通省からの通知)

設計事務所の公募

私たちが募集に利用したのは「マンション管理新聞」のフリースペース欄です
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予め申し込んで規定の形式で原稿を提出します。
掲載料は無料なので管理組合としては特に負担はありません。
約10日間の募集期間を経て、応募してきた1級建築士事務所は10社。北海道の事務所も応募してきました。
1次選考として、この中から実際に見積を依頼する業者を絞り込む作業になるのですが、今回は北海道の業者を除いて全ての業者に見積を依頼することに決めました。

普通は、各業者との折衝や連絡、見積書を貰った後のまとめなどの作業量をあまり多くしたくないので、まず書類選考をして5社程度に絞り込むことが多いようです。
写真は、マンション管理新聞で公募した時の紙面です。第1面に掲載されました。

見積もり依頼

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いよいよ見積を依頼する作業です。
業者からの見積書を比較検討するには、統一された見積内容でないと検討できません。
「見積要項書」と「見積明細書(金額抜き)」を業者に電子メールで送り正式に見積を依頼します。
一番効率が悪いやり方は、それぞれの業者と個別に面談し、依頼内容や監理の仕様などをきちんと決めないで業者任せで見積を依頼してしまうことです。
仕様を統一しないで依頼した見積書は、同じ土俵では比較検討することができず、管理組合が適正な判断ができない場合があります。間違ってもこのような状況になってはいけません。

見積要項書に基づき、業者は現場下見を行い、見積もり提出に必要な質問があれば質疑をしてきます。
業者の質疑に対しては、私が回答を作成し、全ての業者に共通回答として質疑の内容を回答しました。

写真は、重松事務所で作成した「見積要項書」です。

見積書の保管〜開封

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現場下見や質疑応答の後、理事長宛に業者が見積書を提出して来ました。

見積書は、提出期間が満了するまでは開封せずに理事長が保管します。
来た順番に開封して作業を始めると作業時間は短縮されますが、特定の会社の見積を事前に見ることとなりますので公平性に疑問が残ります。
よって、提出された見積書は、期間満了後に理事長が重松事務所に持ち込んで複数の人が立会いの下で一斉開封しました。

写真は、重松事務所で小林さん立会いの上、理事長と一緒に開封しているところです。
ここで初めて、各業者の見積書がオープンになります。

見積もり比較一覧表の作成

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各社の見積が出揃ったらいよいよ「比較一覧表」の作成です。
ここから大変な作業が始まります。。。

まずは、各社の見積内容に間違いや見落としがないか確認したあと、価格を一覧表にまとめ、そのうえで専門家としての重松事務所の意見を付記します。
全部を見やすいようにA3一枚にまとめるのは結構苦労しました。
私が指摘したのは、各作業工程(現地調査、基本設計、実施設計、工事業者選定、アフターケア業務)に要する時間の妥当性や技術者1名の工数単価の妥当性などでした。

もちろん、過去の実績の豊富さ等もコメントしました。
写真は、見積書提出業者の比較一覧表です。
この中から、委員会で検討した後に3社を選定し、プレゼンテーションを受けることにしました。・・・